透視法

透視法

第1回は透視法です。

透視法(透視図法)は絵画において15世紀ルネサンス期から利用されたと言われていますが美術を学習する皆さんにとってはデッサンの基礎ともいえる理論と理解してよいでしょう。
美術の学習(芸術)においては感覚的な領域がどうしても大きく、自然科学のように理論を学び、論理的に考えることはむずかしいことが多いのですが、こと、デッサンに関してはその理論を理解をすることで自分で出来不出来がわかるようになります。ということは上達するということですね‼しっかり学んでいきましょう! ~続く

3つの透視図法

透視図法には一般的に『一点透視図法、二点透視図法、三点透視図法』という3つの図法があります。これらについては検索をかければ詳しく解説されていますので調べてみましょう。(いつもわからないこと、知らないことは自分で調べる癖をつけていきましょうね。自ら学習する姿勢を身に着けることはあなたが成長する鍵となります。

さて、人間の目で物を見てそれを二次元の紙に描こうとするには三点透視法を元にするのが良いでしょう。

三点透視法では水平方向にも垂直方向にも物が小さくなるのがわかると思います。同じ大きさ長さの物は自分から遠ざかるにつれて小さく短く見えます。

実際に目の前に立方体がある時、自分から一番近いところはどこですか?一番遠いところはどこですか?

写真の立方体で自分に一番近い点はA、一番遠いのは見えてない一つの点です。(裏側にあります)物が小さいのでわかりにくいですが、辺AB,CD,EFで一番近くて長く見えるのがAB,2番目がCD,3番目がEFです。同じ長さだと先に述べたように遠くに行くほど小さく見えることになりません。(微妙な長さの違いです)

この同じ長さの物は自分から遠ざかるほど短く見えるという理屈を頭に入れておきましょう。  ~続く

三点透視図法を理解して物を見る

さて、次は各辺の向きを見てみましょう。AB、CD、EFは平行線です。同じようにAE、BF、CGとAC、BD、EGも平行な3辺ですね?それぞれ3辺はあなたには平行に見えていますか?目の前の小さな物なのでわかりにくいのですがそれぞれの3辺の組はすべて自分より遠くにいくにつれて収束していきます。先に述べたように同じ長さの物は自分から遠ざかるにつれて短くなるように見えるからです。

立方体の各辺は実際は同じ長さで平行すが、目の前においてそれを見るとき、各辺の平行線の組は遠ざかるにつれて収束するような向きになり平行には見えなくなります。長さも変わります。
*写真立方体の各辺は→方向(自分から遠ざかる方向)に収束していきます

人間は立方体という特長(辺の長さはすべて同じ、すべての辺は直角に交わる)を知っているので、それを見て描こうとするときにその知識が邪魔をします。
そう、実際には平行に見えないのに平行に描いてしまったり、長さが違うのに同じに描いてしまったりするのです。
しかしここで、あなたに理解してほしいことは立方体の特長を知った上で、それがどのように見えるのか(同じ長さの物は遠ざかるにつれ短く見える、平行線は収束していく)、見えるはずなのか、なのです。

なんだかすごく理屈っぽくなって頭がこんがらかってきましたか?
要するに、物の特長や構造を理解した上でそれ透視図法の知識を重ねて実際にどう見えているのか、ということを常に考えながら物を見る習慣をつけてほしいということなんです。
構造を理解するということは見えない部分まで描けますね?
立方体の見えない辺(線)まで描けますね?
見えない線まで描くとしっかりとした立方体が見えてきます。形がおかしいとわかりやすくなるんです。
透視図法の理解はこのようにあなたのデッサン力を必ず向上させてくれます
立方体各辺の見え方